誰かの一日

 旅行が好きだ。既に47都道府県の半分以上には遊びに行ったことがあるし、5つの県に少なくとも一年以上住んだことがある。本当に旅行を趣味にしている人やライフワークにしている人にはもちろん及ばない。でも、いろんな場所へ行くことが好きだから、少なくとも苦ではないからこんなにいろんな県に行ったことがあるのだろう。

 観光地にももちろん行くが、だんだんと行く機会が減った。まったくその県に行っても行かないこともある。代わりにどうするのかと言うともっぱら散歩だ。とにかく歩く。街並みを見ながら。高いところに登って下を見下ろし、歩く人、その場所で今まさに生活を営んでいる人たちを見て思いを馳せる。この人は今どこに向かっているのだろう。今日は天気がいいからお散歩かな?そんなふうに特に何をするわけでもなく、でも少し歩くとその街の匂いを少し知れた気がして何だかそれだけで満たされてしまうんだ。

 この歳でこれだから、10年後にはもっとおじさんになっていそう。もはや散歩すらせずに、ただどこか高級な宿に泊まって、何をするでもなく窓から庭を眺め、うたた寝から目覚めて思い出したかのように誰もいない湯船に浸かりに行く。あれ、何だか今やっても楽しめそうだぞ。

僕はまだ23なんだけどなあ。

何歳で何をやろうと別に何も問題ないとはもちろん思うけれど、若いうちにしか出来ないってことがある。それらをやらないで年老いてしまうことは何だかもったいない気もしてしまうからもどかしい。